「俺、振られたよ」

「え?」


翔の言葉に自分の目が見開いていくのがわかる。


「お前、彩香のとこに行ってくんない?」


翔が俺の肩をぽんっと叩く。


「え?」

「郁人さ、もう俺に遠慮しなくていんだよ」


翔がふっと笑う。


「翔?」

「お前、俺をなんだとおもってる?俺なにもいいやつでもなんでもないから」


翔の笑みが自嘲的なものになっていく。


「...翔」

「俺は自分が彩香をものにしたかったから。お前の気持ちに気づいてたのに相談したんだよ」


俺、隠せてなかったのか。


「郁人なら絶対応援してくれるって思ってた」

「そうか...」

「俺のこと嫌いになったか?」

「...んなことでならねぇよ。別にただ同じ人を好きになっちまっただけだろ」