大切なもの【完結】

「なに?」


「これこれ!翔から!」


「はぁ?翔?」



突然の翔という言葉にイライラが募る。
なんだよ、なんでいま翔が出てくるんだよ。


「翔がこれあげてって」


「翔が?」



彩香からもらったお店と同じ雑貨屋の包み紙をもう一つ受け取る。



「うん。誕生日プレゼントだって」


「は?翔にいつあったの?」



感謝の言葉なんか出てこない。
なんで同じ店で買い物してんだよって感情にしかならない。



「昨日、だけど?」



不思議そうに彩香が首を傾げる。



「…んで、昨日会ってんの?」



仲良しグループの一員に昨日あったぐらいで何ともないんだろう。
でも、翔は別だ。
彩香のこと好きだったんだぞ?2人でいるとか信じられねえまんだけど。



「え?たまたま!たまたまあっただけだから!」



彩香が慌てたように説明しだす。



「たまたま?」


「うん!雑貨屋さんに通りかかった翔が声をかけてきたの」



声をかけるなよとか思ってしまう俺は正直心が狭いと思う。