「ごめん!ほんとごめん」



なぜだか謝り続ける郁人。



「なんで、謝ってるの?」


「いや、よくわかんない。さっきのは忘れてよ」


「…忘れ?」



忘れられるわけない。
郁人とのことなんて全部忘れたくない。
でも、そう言うなら忘れたふりをするしかないよ。、


そうだ、ケーキ。



「郁人、ケー「俺、そらそろ帰る」



突然立ち上がる。



「え?」


「今日はありがとう。家でもパーティしてくれるから帰るね」



ふっと笑顔を見せる。



「…う、うん」



とてもじゃないけど何も言えなかった。
もっと一緒にいたいなんて言えなかった。
一緒にいたいと思ったのはあたしだけなんて悲しくて。



「食べて欲しかったな」



言えばよかったのに。
言えなかった自分が悪いんだ。



「頑張ったんだけどなぁ」



あんなに頑張ったバイト代で買ったプレゼントも渡せなかった。
ただいえばよかっただけのことに涙が溢れる。


そんなつきあって初めての彼氏の誕生日。
終わりにしたくなかったんだけどな。