それを辿られる前に、わたしは夏菜子の腕を掴んで早足で体育館へ帰った。

「え、なに!? 先生?」

「うん、早く行こ」

見られている、と感じた。





体育館へ行く二人を見送るのが日課になっている。

部活に入らなかったことを少し後悔し始めている。でも、楽器も出来ないし絵も十分に描けないし、と一年のときも消去法を使って帰宅部を選んだのだった。

あと、少し考えていたのは。

「あ」

今回は待っていたわけではないらしく、靴を履き替えていた慧斗がいた。声を漏らしたのはどちらだったのか。