最後の一本を食べ終えて、「ごちそうさま」と手を併せる。
「じゃ、帰りますか」
「あ、お金」
「いいよ。俺は美衣ちゃんの食べてるところが見たかったわけだし、これで五分」
「いやいや」
そんな、わたしの食べているところに価値はないと思う。
反論する間もなく、慧斗は店を出て私もその後を追った。
外はもう暗くて、それでもこの間よりは日が長くなっている。出しかけた財布を仕舞うと、手を差し出される。
「その代わり、手繋いで帰ろ」
その大きな手を見て、慧斗を見上げる。
背が高い。幼稚園のときは殆ど同じ背で同じ年月を過ごしたのに、どうしたらこんなに成長するのだろう。