あの仔猫、彼のだったのか……。
お母さんが帰った後、一人ベッドに横になって目を瞑る。
彼が見つけてくれた。
彼は仔猫を探すついでだったとしても。
その彼と、この傷痕を繋げるのは、可笑しい話だろうか。
いや、その話は置いておいて。学校が始まったらちゃんとお礼を言おう。
そして、仔猫可愛いね、と言ってみよう。
わたしを助けてくれた。
それは本当に、偽りなく、嬉しいと思えた。
思えたのだ。あの時までは。
「なにその絆創膏!」
夏菜子がわたしの瞼の上に貼ってある絆創膏を見て、顔を顰める。船川までこちらを見てぎょっとしている。



