なんだろう、じゃないのかもしれない。
あのとき、木から落ちたときについた傷なら。
どうして、もう塞がってるのか。
「美衣、他に痛いところ本当にないのよね?」
電話から帰ってきた母親が再度確認するようにわたしを見る。
腕のことを言おうかどうか迷って、結局言わなかった。
それからお母さんもここに泊まろうかと言い出したので、それを丁重に断った。お父さんも帰ってくるだろうし、家に帰って大丈夫だと答える。
「じゃあまた明日来るから。どこか痛くなったらこれで看護師さん呼びなさいね」
ナースコールを指差して教えてくれる。



