仔猫がわたしの手首に爪を立てた。
「いった」
バキッという音と、ふわっと重力に逆らわぬわたしの体重。あの、ジェットコースターの上から落ちる感じ。内臓がふわっと浮かぶあの感じ。
バキバキと下の枝を何本か折った。そのひとつが腕を深く抉った気がする。
地面に体を打ち付けて、わたしは気を失った。
揺られている。
仔猫の鳴き声もする。
腕の傷が痛くて涙が出た。キリキリとしたどうにもならない痛みに唸った気もする。
死ぬのかな。
わたし、彼ときちんと和解もせずに死んじゃうのかな。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…