仔猫がわたしの手首に爪を立てた。

「いった」

バキッという音と、ふわっと重力に逆らわぬわたしの体重。あの、ジェットコースターの上から落ちる感じ。内臓がふわっと浮かぶあの感じ。

バキバキと下の枝を何本か折った。そのひとつが腕を深く抉った気がする。

地面に体を打ち付けて、わたしは気を失った。





揺られている。
仔猫の鳴き声もする。

腕の傷が痛くて涙が出た。キリキリとしたどうにもならない痛みに唸った気もする。

死ぬのかな。

わたし、彼ときちんと和解もせずに死んじゃうのかな。