それは勿論、これまで何度だって彼に話しかける機会も回数も時間もあった。
彼だけではない。わたしだって近づいてこない彼に近寄らなかった。
少し考えればわかることだ。彼の幼馴染がわたしだと聞くよりも、わたしの幼馴染が彼だと聞く方がインパクトがある。そして質問攻めにされることが目に見えている。
それに答えられない自分がいることもわたしはきちんと想像できている。
だから、言わない言われないことが好都合でもあった。
「守尾はどう思ってんの? 偏見なしにしてさ」
船川の飲み物がいつの間にかアイスコーヒーに変わっていた。