斯くしてわたしは、体力測定のペアを代わってもらうことに成功した。

……わけなんだけど。

「行こう」

話した。

わたしの分の用紙を持っている。何故それを持っているのか。
何故、彼がわたしの前に立ちはだかるのか。

「え、あの……」

目だけで船川の姿を探した。代わるって言ったのに、どうして居ないんだ。

更衣室から出るのを待っていたらしい彼は、すたすたと歩いて行く。

話した。でも無視。

話したのは彼の方で、それは何度も見てきた。

彼は全くわたしと会話するつもりはないらしい。

なんだか苛々してきた。