ならどうして、わたし達はこんなにも違う世界にいるのか。
その答えは分かるようで、分からない。
幼稚園のとき、わたしは怪我をした。些細な怪我で、とても泣いて、彼はあろうことか傷口を舐めた。
それから、だ。
彼の背中に翼が見える。それも片方だけ。
漆黒の、鳥とは違うその翼。
みんなには見えていないらしい。あの翼には誰も触れない。
いつもは折り畳まれるようにしている。
わたしにはそれが見えている。
だからだろうか。彼がわたしを無視するのは。
彼の翼から目を逸らして、歩き出す。
きっと、もう思い出話すらできない。