靴を履き替えて、校舎を出た。校門の方に数人の生徒が固まっている。
その中に彼の姿が見えた。
わたしは彼を誰よりも先に見つけることが出来る。それはわたしの目が良いからではない。
同じ幼稚園だった。小学校も中学も同じで、まさかと思ったけれど高校も同じだった。
そして隣に住んでいる。
望月慧斗は、傍から見ればわたしと幼馴染だと判断されるだろう。
でも、一度もそう言われたことはない。
わたし達は会話をしないから。
一緒にいないから。
目も合わせないから。
昔は話したこともあった。仲も良かったように思う。