隣に座っていたのは女子だったし、話しかけようと思えばできたはず。

先生の話もろくに聞いていなくて、何をしているんだろう。

額を手で覆って溜息を吐く。これ今日で何度目だ。

前に彼が座っているから、なんて理由にはならない。体力測定の話があがって、わたしが彼とペアになると気付いた彼の隣に座っていた女子の唇の尖らせ様といったら。

わたしに直接その敵意が向けられないことを願いながら、昇降口に向かう。

同じ道理でいくと、わたしは何も彼の所為にはできない。

彼の行為は少しもわたしの方へは向いていないからだ。