それは多分、夏菜子に混じった船川の匂いだと思う。船川は部活の何かの取り決めで忙しいらしく、今日は一回も話をしていない。 夏菜子も例の彼とはすっぱり別れたらしく、最近は船川と笑っているのをよく見た。 「今度さ、両親がこっち来るんだ」 首が離されて、慧斗が言う。 「良かったね」 「美衣ちゃんを紹介しろってうるさくてさあ」 「え、わたし?」 「来たら教えるね。美衣ちゃんの好きなクッキーも買ってくるってさ」 どうやらわたしのクッキー好きは望月家では有名になっているらしい。