逃げた後、やっぱり慧斗からわたしに近づくことは無かった。
時折、翼がばっさばっさと苛立つようにして動いていたけれど。

幼稚園のとき、わたしが放って忘れ去った一言をきちんと守っていた慧斗のこと。

わたしは今までずっと一方的に無視されていると感じていた。
ずっと気にしてた。

どうしてだろう。
幼稚園でも同じように小学校や中学に進んだ子もいた。話さなくなった子も、連絡を取らない子だっている。

わたしは、どうして慧斗のことを……。

カーテンの隙間で何かが動く気配がした。といっても外は夜で、真っ暗だ。