二人の会話を聞きながら、わたしは上の空だった。

これが出来たら合格、なんて。
そんなこと言えない。

この前、慧斗が言っていたことを思い出す。

『この翼、切り落としてくれば――』

ぶるりと背中が震える。
慧斗の片方だけの翼がなくなったところで、わたしは慧斗の覚悟を見ることは出来ない。

「でもさ、それって虚しくない? 出来る出来ないで判定するのって、そういうことで気持ちを計るのって」

「夏菜子がまともなことを言ってる……!」

いてっと船川が夏菜子に叩かれていた。

そっか、わたしは覚悟を知りたかったのかも。
慧斗より、自分の覚悟を。