たまたまわたしが隣に住んでいた。

たまたま同じ学校に通っていた。

あのときだって、わたしが怪我をしなかったら慧斗は血を舐めたりしなかったはずだ。

「確かに、美衣ちゃんのこと可愛いと思うよ」

「わたしが可愛いとか誰も言ってないんだけど?」

「美衣ちゃんから血の匂いがしたら興奮するし」

慧斗は何かを考えるように、言葉を発する。
わたしはそれを待つ。

「俺は美衣ちゃんのこと、好きだよ」

「そ、それって、人としてじゃないでしょう。食べ物、みたいな……」

「好きな子のこと、食べたいって思うのは、可笑しい?」

純粋に尋ねられた。