校舎を出た。

すっかり暗くなっている。校門を出るとすぐに、その姿が現れた。

「いや、あの、暗くなると危ないから」

しどろもどろに慧斗が言う。わたしはその様子を見て、少しキツイことを言ったかも、という気持ちになる。

鞄を持っていない。

「もしかして、一回家帰ったの?」

「うん。美衣ちゃん、全然図書室から出て来そうに無かったから」

「わたしのいる場所、知ってたの?」

「知ってるというか、分かるというか。たぶん、今の時期なら美衣ちゃんのいた場所辿れる……」

慧斗はハッとした顔をして「なんてね」と付け加える。