じろりと睨む。

「離れて」

「……はい」

「もっと!」

慧斗はじりじりとソファーの端へ下がっていく。わたしも身体を起こす、とブラが外れていることを思い出す。

背中に手を入れてホックをつけようとすると、視線を感じた。

「あっち向いて!」

「あ、はい」

主人に従順な犬のように慧斗はこちらに背を向ける。わたしは服を整えて、スカートをきちんと伸ばした。

……なんだったんだろう、今のは。

あういうのって付き合ってる人たちがするものだよね。付き合っているというのは、例えば夏菜子と後輩くんのように。