お母さんもクッキーが好きなので、きっと喜ぶだろう。

何より、慧斗とまた仲良くしているのかどうなのか、と煩く聞いてきそう。

「慧斗のご両親はどっちも吸血鬼なの?」

尋ねると、慧斗の羽根がばさりと動いて、わたしの空いている方から包んでくれる。

包容力とはまさにこのこと。血管の通っているその表面を少しだけ撫でてみる。

「そう、でも吸血鬼の血はどんどん薄くなってきていて、もう殆ど人間とは変わらない」

「変わらないの?」

人間はこんなに大きな翼を持ってはいない。慧斗はわたしの指に指を絡めてきた。