毛づくろいの途中で、気付いたようにわたしの方を見る。瞳孔がきゅっと広くなった。

にゃああおお。

何かを問われた気がした。そんな感じの鳴き声。

驚いて固まっていると、いつの間にかリビングから出ていた慧斗がカップを二つとクッキー菓子を持ってきた。

「だから美衣ちゃん、木に登ったコナを助けてくれた人」

にゃおおん。

「ああ、はいはい」

「会話してるように聞こえる」

「一人でも下りられたけどありがとう、だって」

「本当?」

「最初は何言ってんのか全く分かんなかったけど」