「ただいまーー」



私は靴を脱ぎ捨て、階段を掛け上った。


驚くだろうな~!

喜んでくれるかな?!


ふふっと笑いながら、
勉強部屋の扉を勢いよく開けた。




ふわっ...




爽やかな風が優しく顔を撫でた。



部屋には暖かな日差しが射し込み、

心地よい空気に満たされていた。


まるで、




昨日までとは違う部屋のように。






「あ、、れ?」


昨日の夜まで感じていた気配が、全く感じない。


「なん、で?私、合格したよ?あなたと一緒に頑張って、合格したんだよ!!」



いつもの返事は、なかった。



もう少し、待っててくれたら良かったのに。
いや、本当は、これからもずっと一緒だと思ってた。

T高は進学校だから、宿題大変なんだって!
大学受験はどうするの?
落ちたらどうしてくれるのよ!!




言いたいことは山ほど浮かんできた。


でも、

一番言いたかったこと



「 ありがとう 」





太陽の光が反射して、一瞬目が眩んだ。

大きなリボンの可愛い女の子の笑顔が、瞼に見えた。