その柔らかい頬にもう一度触れようと、人差し指を近づける。


すると、急に手首を掴まれたから驚いた。


「…おはよ、藍」


目にかかる前髪が色っぽい。
艶のある寝起きの声に胸が高鳴った。


「お、起きてたの?」


「…うん」


1テンポ。いや、2テンポほど遅れてきた返事に、ほぼ半起きといった感じが見受けられる。


「ほっぺ触られるの嫌だった?ごめんね?」


「いや、全然嫌じゃないよ。ちょっと驚かせたかっただけ」


「…寝ぼけてるのに?」


「起きてた」


「嘘だー」



こんな他愛ないやりとりにでさえ幸せを感じる。


まぁ、付き合う前から元々こんな感じだったけど。