ーーー教室へ行くと、丁度教室からでてきた中山先生と鉢合わせた。
ああ、遅刻した。
「おはようございます」
「ん、おはよー。元気してたー?」
「あ、はい。すみません休んでしまって」
「いーのよいーのよ。迷って迷って進めばいいよ」
え……?
中山先生は私の頭にぽん、と手を置くとくしゃっとなでて行ってしまった。
中山先生………全部分かってたの?
………わからない人だ。
けど、悪い人ではなさそう。
少しだけ、昨日までの自分と変われた気がした。
そしてうるさくなった教室へ入ると、真っ先に私に気づいた人物がいた。
「陽葵……」
同じクラスの工藤さんだ。
工藤さんは私に歩み寄ると不安そうな顔で私を見る。
「おはようございます。」
「おはよう。あの、俺たち……」
工藤さんはきっと謝ろうとしてる。
「私、お友達欲しいんです」
私は工藤さんの言葉に被せて言った。
工藤さんたちは悪くない。
悪いのは全部私。
最初から、疑いの目で人を見てたらきっと疲れてしまう。
まずは、相手を知ることから。
「え……?」
きょとんとした顔。
「えっと…その……」
勢いで言ったものの、なんというか恥ずかしい。
「…っ、なろう?俺でよければなる」
私が言葉に詰まっていると、工藤さんはそう言ってへらっと笑った。
あ……こんな顔するんだ。
「……!はいっ」
つられて私も口角があがった。
………これで、いいんだよね?


