怒られてもキャッキャッと彼女達はやけに楽しそうだ。
 全身からエネルギーを放出しているかのような女子高生のパワフルさに気圧されていた私は愛想笑いを返す事しか出来ない。

「やっぱ奥さんに心配かけたくない?」

「やー愛だね、愛っ!さすが新婚さん、ラブラブじゃーん」

「当たり前だろ」

 まっちゃんの言葉にキャーッと彼女達が一際大きな歓声を上げた。対して言った本人は平然としている。
 嫁であるのは間違いないので余計な事言って欲しくないのは事実だろうけど、それは愛故というより、『先生モード』の大人の交わし方なんじゃないかと思う。……だって。

「ほら予鈴なるぞ、そろそろ教室戻れよ」

「はーい、まっちゃんも奥さんといちゃいちゃし過ぎて授業忘れないようにねー」

「忘れるか、馬鹿」

「お邪魔しましたー」

 喋るだけ喋って校舎の方へと戻って行く。私もまっちゃんに倣って『大人モード』で笑いながら手を振って彼女達を見送った。
 友人達と話しているとノリも言ってる事も学生時代と何も変わらないなと思うし、この間の飲み会でもそんな話をしたのに、やっぱり現役学生とは発散しているパワーが違う。歳を取ったんだなあと今更ながらに思わされてしまった。
 毎日これを相手にしているまっちゃんが疲れているのも当然な気がする。