「そんな顔するんじゃねぇ。

もう、何も言うな」




遥希は静かにあたしに唇を重ねる。

微かに血の味がして、胸が痛む。




「お前に染み付いたあいつを、消してやる」




そう言って、遥希はいつものように優しくあたしを抱いた。

遥希の胸に抱かれながら、少しずつ安心した。

あたし、遥希と一緒にいるんだ。遥希の元に戻っていいんだと。