そのキスで、忘れさせて






ー美咲sideー






十日間、大阪まで出張に行っていた。

急に決まった出張だった。

遥希には黙って出かけ、夜中まで仕事に明け暮れた。

現実を忘れるために。

これで遥希が離れていくかもしれない、そんな不安はもちろんあった。

でも、どうすることも出来なかった。




ネットでは、如月ユイカが遥希のファンの猛攻撃に遭っていた。

あざといとか、女性に嫌われるタイプだとか。

その攻撃があたしに向けられるのが怖い。

でも、遥希と一緒にいられるなら、甘んじて受け入れることが出来ただろう。