そのキスで、忘れさせて





「賢一君も心配してたよ?

遥希君の料理の腕はめきめき上がるのに、あからさまに元気がないから」



「……」



「僕さ、出来ることなら何でも協力するから、はやく美咲ちゃんに会って話しようよ」




遥希君は泣きそうな顔のまま、僕に聞いた。



「チンカスはなんでそんなこと言うんだ?

俺のこと、嫌いじゃねぇの?」



「嫌い?」




僕はふふっと笑ってしまった。




「な訳ないじゃん。

確かに君は僕と同じくらいイケメンだからムカつくけど」





当然だ。

遥希君を嫌う理由なんて何もない。

むしろ嬉しい、バラバラのTODAYのメンバーとこうやって話が出来て。





「美咲ちゃんに会わないと、料理コーナーも水の泡だよ?

ほら、はやく見つけに行くよ?」




僕は鞄を持って立ち上がっていた。