あたしは遥希に笑顔で言う。
「藤井さん、いい人だったね」
「あぁ……」
遥希はあたしに背を向けていて、その表情は分からない。
「まさか、玄があんな陽気な人だなんて」
「あぁ……」
「すごいよね!料理も上手で」
「……」
「もしかして、他のFのメンバーも……
「うるせぇんだよ、藤井藤井、FFって!!」
遥希の言葉ではっとした。
あたしは、遥希の気持ちも考えずに何浮かれていたんだろう。
「ご……ごめん、遥希!」
慌てて遥希に駆け寄り、顔を覗き込む。
遥希は少し紅くなった顔を歪ませて、あたしを睨んだ。