そのキスで、忘れさせて








リビングに戻ると、藤井さんはやっぱりおかしな顔で遥希を見た。

そして、ゆっくりと口を開く。




「あの……俺は何をすればいいんでしょう?

フランス料理店オーナーとして、何かお手伝いをすればいいんですか?」



「はい。実は……」




遥希は藤井さんに、昨夜と今朝の話を告げた。

藤井さんはやっぱり紳士的に、はいと相槌を打って聞く。

そんな藤井さんを見て確信した。

藤井さんは玄ではないと。

玄はもっとクールでダルそうで、そしてカリスマオーラに溢れている。






話し終えると藤井さんは、



「大変ですね」



心底同情するような顔をする。

そして、



「俺で力になることが出来れば」



人の良さそうな笑みを浮かべた。

玄は絶対に見せない笑顔だった。