そっくりさんかもしれない。
それにしては、似すぎだ。
それに、こんな高級マンションに住んでいる人はただ者ではない。
ドキドキドキドキ……
鼓動が一気に速くなった。
だが、
「えぇ……一応、オーナーなので」
彼はあたしに言う。
「フランス料理店を経営しています」
その言葉に、あたしの気分は一気に落ち着く。
やっぱり玄ではないんだ。
そうだよね、玄はもっと野生的でクールで。
だけどこの人は、礼儀正しいごくごく普通の人だ。
それに、フランス料理店の経営者だなんて!
「助けてください……
あの……出来たらでいいので!」
あたしは彼に頭を下げていた。



