そのキスで、忘れさせて







遥希の顔が一瞬固まった。

そして、



「……ストーカーかよ」



ようやくいつもの遥希節が出る。




なんだかホッとした。

甘い遥希は大好きだけど、あたしにはちょっと刺激が強い。

こうやって、遥希と言い合っているほうが楽なのかもしれない。

だから言ってやる。




「ずるい!あたしも碧に会いたかった」





遥希は黙ってあたしを見た。

その顔は、やっぱり不満そうで。




「まだ碧が好きなのか?」



「うん」



「俺と……どっちが好きなのか?」





その言葉に、思わず笑ってしまった。




もちろん遥希に決まってるじゃん!

碧はただのファン。

恋愛とは関係ないんだから!