「ただこの曲、すげー難しいんです。
ライブ向きじゃねぇっつーか。
こんな曲を作った玄を、俺は恨みますね」
乾いた笑い声が上がり、遥希もにこやかに顔を歪める。
そして、碧と談笑していた。
「僕にも歌えますか?」
「歌えるんじゃねぇすか?」
と。
なんだか分からないけど……
心から遥希を尊敬した。
あれだけ碧を罵っていて、何より自己中俺様の遥希なのに。
テレビの中の遥希は、自分の感情を全て押し殺している。
大物アーティストらしくどっしり構えているFの四人に、
「ありがとうございました!
今日は四人に会えて、とても勉強になりました」
なんて言って。
そんな遥希に、あたしが出来ることはないのか。
キッチンに立ったまま考えた。
……料理。
料理教室にも通っていたし、腕には自信があるんだ!



