公道は運動神経のない蛇のように、もっさりと原付きバイクを五月の日射しに傾きかけた天秤、なにか勉強の苦手な台台武蔵のモチベーション、バレンタインデーの後の虚無感を表していた。

那賀先輩に頼まれた、スペインロールと牛乳をバイクで学校から12分のスーパーに買いに行った帰り、ショートホープをくわえて台台武蔵はぼーっと赤信号に停まっていたのだが、ふいに、指原中丸の笑顔を思い出し、壊れそうになった。

先生がいったことばは、羨ましいね、と。同性愛者で自殺した。醜い男だった。愛があるほどに。