「ブラックコーヒー……ね。たしかに、そう言われたらそうかも!」
「でしょ?」
これから、みっくんのこと、ブラックコーヒーって呼ぼうかな。
あ、ブラックコーヒーの方を “みっくん” って呼んだら苦手意識が薄れて飲めるようになるかな。
そんなことを頭の中で想像していると、
「でも、お砂糖とブラックコーヒーかぁー。ひまりたちって、ほんと正反対なんだね」
「正反対……?」
「だって、“甘い” と “苦い” って両極端でしょ?」
そっかぁ。
たしかに、あんまり 『似てる』って言われたことはないかも。実際似てないし……。
「正反対だから、避けられちゃうのかなぁ」
「そういうわけじゃないと思うよ?……まぁ、私は一応ひまりの味方してあげるからさ、棚橋くんと元に戻れるように頑張んなよ。…ひまりは、それが望みなんでしょ?」
そう、みっくんのことが大好きだから。
隣にいたい、ただそれだけが私の願いごと。
「うんっ、ありがとう夏奈ちゃんっ」
「どーいたしまして!」
夏奈ちゃん特有の、ヒマワリを連想させるスマイルで元気が出て。
……今日も、みっくんに頑張って声をかけようかなって思った。
放課後。
努力の甲斐なく
もちろん、見事にスルーされたんだけれど、ね。
*
((ひまりは、予想以上に純粋だったけど………。そのうち、恋に発展する可能性は充分ありそうだなぁ))
このとき、夏奈ちゃんがこんなことを考えていたとは、つゆ知らず。