ーーーえ。


「……っと、新堂くん。非常に申し訳ないんだけどもう一回言ってもらってもいいかな」


だって、こんなの、おかしい。絶対聞き間違いだ。
あの新堂くんが、あたしにデートの誘いなんて。

そう、思ったのに。



「なんか、改めて言うのすごく恥ずかしいんだけど…。もしよかったら、来週の日曜日、どこか行かない?

…2人で。」


「…………っ、」

ふ、2人、って…。あたしと、新堂くん??

え、なにこれ夢?ドッキリ???


目を瞬かせて、彼を見る。
新堂くんに誘われるなんて、まるで夢みたいな話だ、けど…。


「………少し、考えさせてほしい…かな」



本を整理する手を止めて、ゆっくりと息を吐き出す。

新堂くんがこちらを向くのがわかって、さっと本棚に視線を移す。
少し前のあたしなら、二つ返事でOKしたかもしれない。

でも、今は……。


『先輩!』と笑うやつの顔が浮かんで、ぐっ、と口を噤んだ。



こんなグラついた気持ちじゃ、新堂くんとデートなんて、出来ないよ。