いや、でも…八神くんは、ゆり先生のこと、どう思ってるんだろう。

差し込んだままだった本を、押し込む。



…嫌だな。

体育祭の時のこと、まだ引きずってるの?


あれはただ、八神くんの視線の先に偶々あたしがいただけで。
八神くんが引いたくじの内容に、偶々ゆり先生が一致しただけで。


ただ…それだけのことのはずなのに。



嫌だな、こんな風に細かいこといちいち気にして、イラつくなんて。
あたしらしくもない。


ため息をついたところで、新堂くんから声がかかる。



「何?新堂くん、今度はなんの本?」

「……じゃ、なくて」


沈黙の中2人だけな現実に緊張する気持ちを笑って誤魔化そうとするけれど、新堂くんの声がやけに真剣で、思わずふりむく。


あれ。なんか、勘違いかもしれないけど、新堂くん、顔がーーー…




「…あのさ、柊。来週の日曜日って、空いてる?空いてたら、その…ちょっと、付き合ってほしいんだけど」