「……………」
「……………」


黙々と本を棚に直して、いつも彼が使う棚の前で、ふと1時間ほど前のことを思い出す。

今日も八神くんは本を借りに来て、ゆり先生が印を押していた。


…貸出カードに印を押すのは、あたしの仕事なのに。

っていうか、なんで?
今までカウンターに出てくることなんてなかったくせに。
八神くんとあたしの関係が変わって来た頃から急に、どうして。


あたしと八神くんが親しくしていたらまずい理由でもあったの?



もしかして、

先生は、八神くんに一般以上の好意を抱いてるってこと?



「いや、まさか………」


だって、先生と生徒だよ?

まさか…まさか、ね。


苦笑いで本棚に本を直す手が、硬直する。


「……」


大丈夫、だよね??