考え込むあたしに、理彩はまたため息をこぼして。


「あーあ、手っ取り早く新堂くんとデートでもして来ればいいのに」

「っはい?!そ、そんなこと、あり得ないから!」


新堂くんとデートとか、無理。絶対無理。
心臓潰れて死んじゃう。

だけど理彩はニヤリと笑って、あたしを指差す。


「いーや、絶対新堂くん焦ってるよ。そろそろ絶対仕掛けてくるはずだもん」


「?なんの話ーー

「自分で考えなー」


何よ、自分から変な雰囲気醸し出す話題振ったくせに。


でも、新堂くんとデートか……。




うん。

絶対、あり得ない。







「柊、この本は?」

「え?ああ、えーと…Eー7かな。確か中段だったはず…」

「了解。ありがとう」


……静かだなぁ。

廊下の方からうっすらと下校時刻を知らせるアナウンスが響いているけれど、それ以外は、なにも聞こえない。


金曜日が図書委員担当なあたし達は、月1くらいで本棚の整理を任される。
ちゃんと元の本棚に直してあるかをチェックして、違う場所に本が返されていたなら、元の場所に戻すっていう、単純かつ面倒な仕事。

本当はゆり先生の仕事らしいんだけど、あの人滅多に出てこないし、そもそも不器用すぎて図書室が大惨事になる気もする。