うーー…、と唸るあたしの頭を、理彩がバシッと叩く。
…痛い。けど、怒る気にもなれない。
そんなあたしを見て、彼女はため息をひとつ。
「真琴ってバカ。悩むことでもないでしょ。
…好きな人なんて、もう1人なんだから」
「1人って……。でもだって、」
「新堂くんと八神くんでは気持ちの持ち方が違うんじゃなかったの??」
「で、でもその時は八神くんのこと、そんなに好きじゃなかったからかもしれないし」
頭をもたげて机に視線を落とす。
すると、理彩があたしの頭を軽く掴んでそのままぐしゃぐしゃと髪を乱した。
「っうわ、ちょっと…!」
「真琴それ本気で言ってるの??
じゃあ彼とデートした時、どう思った?」
「…………」
ぐっと言葉に詰まる。
確かに、八神くんとの時間はすごく幸せで、でも、熱いくらいにドキドキして。
でもそれは、彼だからじゃなくて、『デート』だったからって可能性だってあるじゃない?
こう…デートマジック的な感じで。