「っ…」

パシッと腕を掴まれて、動けなくなる。

腕が、熱い。


「ねぇ先輩、さっきの間、なんなんですか?」

「な、何が…」

「もしかして、…俺のこと、考えてくれてました?」

「!」


かぁあ、と頬が染まる。

俯いているからわからないけど、きっと彼はまたあたしをからかう時の意地悪な笑顔であたしを見ているんだろう。



「先輩、どうなんですか??」

「……っ、」


グイッと腕を引かれて、彼に近づく。
一際大きく胸が鳴って、指先がピクリと跳ねた。


近い。近くて、心臓の音さえ、聞こえてしまいそうなほど。



「や、八神くん…離して、皆見てる…」

「嫌です。答えてくれるまで、離しません」


…どうして。
どうしてそんな瞳で、あたしを見るの。



勘違いしそうになる。


ドキドキと鼓動が早まって、苦しくなった喉からひとつ、言葉が溢れ出た。



「…確かに、新堂くんのことも、応援したかったよ。
でも、本当は…


…八神くんのことしか、考えてなかった」