「ちょっと、水飲んでくる。」
ぽつりと呟いて立ち上がると、理彩が何かに気づいたように目を見開いた。
「真琴……」
理彩が気遣いの言葉をかけてくれるけど、それに気づかないフリをしてフラフラとテントを抜けた。
まぶしい日光に、目眩がする。
…八神くん、お題、何だったのかな。
『先生』とかだろうか。
それなら、目の前にいた体育教諭の松本先生にでも頼めばよかったのに。
なんだかすごく、モヤモヤする。
視界がフラッシュを焚いたように白い。
「柊…!」
どこからか新堂くんの声がして、フワリと身体が浮く。
ああ、また、迷惑かけちゃったなぁ……。
だけど、なんでだろう。
春、彼に助けられた時とは何か『違う』と感じてしまうのは。
ーーーーあたしの意識は、そこで途切れた。



