その言葉は2走の子のピストル音に掻き消されて、これ以上はぐっと飲み込む。
だってなんか、自分で言ったことなのに、…。
俯いてしまいそうになるあたしの顔を覗き込んで、理彩が問う。
「…それ、誰に対しての言い訳?」
「っ……」
何、それ。
言い訳なんて。
「あたしはただ1年のこと言っただけなんだけど」
「ふーん……。でもさぁ、真琴だってそろそろ気づいてると思うんだけど。
…もうそろそろ、隠せなくなってること」
「……なんのこと?」
「さぁ〜?」
自分で言ったくせに「さぁ?」って…。
…でも、なんかすごく図星を突かれた気分だ。
2走の子がくじを引いて、1年のテントまで走って、女の子の手を引く。
「おー!ついに出た感じ?」
「え?」
キャー!と興奮気味に手を叩く理彩の方を振り向く。
さっきとのこのテンションの差よ。
彼女に若干のやるせなさを感じつつも、さっきの男女を見守る。
と、男子の方が口を開く。
『あの、…っ、好きです…!!!よければ俺と…付き合ってくれませんか』



