……なんていうか、こう…。
それ考える前は絶対考えてたでしょっていうツッコミを入れようと思ってたんだけど、他にツッコミどころができてしまったせいでいうに言えなくなった。
「2Lのりんごジュースとか持ってる人いるの?」
「前購買のおばちゃんが爆買いしてるって言ってた」
「あ、そう…」
…なにしてんのおばちゃん。
それに、理彩も理彩だよ。
そんな情報知ってる1年生がいるとは思えないし、そのクジ引いた人は絶望的だわ。
苦笑いで交わして何気なく運動場を見回して、
その時、ふと、目に入る、サラサラと流れる、茶髪。
「ーーっ」
……どうして?
いつも、外には出てこないくせに。
どうして、今だけ。
「…真琴?」
理彩が顔を覗かせるのと同時に、
ーーパァン!
開始のピストルが鳴って、ハッと意識を浮上させる。
「な、なんでもない。ちょっと疲れたかも」
「大丈夫?」
「別に平気」
ブンブンと首を振って、曖昧に笑う。
さっきまでは、運動場のどこにもいなかったくせに、どうして彼が出る競技は、出てくるの?
……ゆり先生。



