だからなんでこの人はこう……
怒る気にもなれなくて視線を運動場に戻すと、あたしに気づいたらしい八神くんと、バッチリ目があった。
ヒラヒラと手を振る彼に急に耳と尻尾が生えた気がして、こういうところは普通に可愛いのに、と思いつつあたしも笑って手を振り返す。
「…………なに。」
「いーや?なにも??」
何もないんならそんな風にニヤニヤしないでほしい。
どうせまた八神くんはあたしのことが好きなんじゃないか、っていう話でしょ?
……そんなんじゃ、ないってば。
じとっと理彩を睨むと、
「私まだ何にも言ってないから!」
「言わなくてもわかるし…」
「えーそんじゃ今私何考えてると思う?」
「どうせ八神くんとあたしのことでしょ」
知ってるんだから、と目を伏せると、残念でしたー!と軽快な声が返ってくる。
「正解はあたしが書いた『2Lのペットボトル(りんごジュース)』はいつ出るかな〜、でした!」
「…………」



