【完】金曜日は、八神くんのモノ





だからなんでこの人はこう……


怒る気にもなれなくて視線を運動場に戻すと、あたしに気づいたらしい八神くんと、バッチリ目があった。

ヒラヒラと手を振る彼に急に耳と尻尾が生えた気がして、こういうところは普通に可愛いのに、と思いつつあたしも笑って手を振り返す。


「…………なに。」

「いーや?なにも??」



何もないんならそんな風にニヤニヤしないでほしい。

どうせまた八神くんはあたしのことが好きなんじゃないか、っていう話でしょ?



……そんなんじゃ、ないってば。



じとっと理彩を睨むと、


「私まだ何にも言ってないから!」

「言わなくてもわかるし…」

「えーそんじゃ今私何考えてると思う?」

「どうせ八神くんとあたしのことでしょ」


知ってるんだから、と目を伏せると、残念でしたー!と軽快な声が返ってくる。



「正解はあたしが書いた『2Lのペットボトル(りんごジュース)』はいつ出るかな〜、でした!」

「…………」