【完】金曜日は、八神くんのモノ






「!!」


ビクリと震えた指に、新堂くんがクスリと笑う。


「……よかった」


よかったって、何が?

あたしが応援したら、新堂くんは嬉しいの?



………どうして?



「あのさ、柊。 俺は……」


ビーーッ!!



新堂くんが口を開きかけたけど、それはゲーム終了のホイッスルに掻き消されてしまった。

超絶満足気にガッツポーズをする理彩に目を移して、うちのクラスが勝ったんだと知る。



そのあとすぐに視線を戻すと、どこかで安心したような、でも苦しげな、複雑な表情の彼と目が合う。



「え、っと………」


絡まった指先に、視線を落とす。

バクバクとやけに大きな音で心臓が鳴って、息が苦しい。



「……まぁ、今はまだ…ね。
俺も焦りすぎたかも。ごめんね、柊」


スッと指の温もりが消えて、顔を上げる。



…焦る、って、何が?

新堂くんは、なんの話をしてるんだろう。



カラカラの口を開くけど、言葉が出ない。


……なに、この空気。