まるで忍者のような動きで逃げまくる理彩を眺めて、自然と笑みがこぼれる。
「……柊」
「うん?…っ」
パッと視線を移すと、そこには割と真剣な顔の新堂くん。
途端に心拍が乱れる。
歓声なんて聞こえないくらい、ここだけ静かだ。
「あのさ、柊。
…リレー、本当はどっち応援したいって思ってる?」
「………」
『どっち』って…。それは、紛れもなく新堂くんか八神くんのことで。
探るような視線に、ドキドキと胸が鳴って、背に汗が滲む。
なんで、そんなこと聞くの?
「……新堂くんに、決まってる………」
呟くと、彼の顔が綻んだ。
それにまた、ドキッとする。
……なんで?なんで、なんで??
思ってることを言っただけなのに、なんでこんなにモヤモヤしてるんだろう。
八重歯を見せて笑う彼が頭の端でチラついて、フルフルと首を振った。
なんで?なんか、おかしい。
俯くと、彼の手がそっとあたしの手に触れる。



