【完】金曜日は、八神くんのモノ





てか背中に玉当たるじゃん。

暑いし痛いとか最悪じゃん。


って思ったんだけど、理彩曰く「暑いのはまあ暑いけど玉柔らかいし、全然痛くないよ〜」、らしい。

それはあんたの痛覚がどうかしちゃったんじゃないの、なんて思いつつ、籠を背負った理彩をぼんやり目で追う。


と、誰かが隣に座る気配がして、「そこ理彩の椅子なんだけど」と言おうとして固まる。



「お疲れ、柊。なんか今年もすごいね、…玉入れ」

「……っ、し、新堂くん…!」



え、なんで!??
なんでここに座るの?!!

咄嗟に俯いて、前髪でささっと顔を隠す。


…あっつい。

「まあ、とりあえず理彩がガチだよね」



キャーキャーと喚くテント内で、理彩のあの強烈な動きをしっかり見てないのは、きっとあたしだけなんだろう。

でもまぁ、なんとなく彼女が今どんな感じなのか、っていうのは、わかるけど。



「ああ〜…、でも、あの感じだと1位は間違いなくうちのクラスだろうね」


笑い混じりの彼の言葉を顔を上げて確認すると、
……なるほど。確かに、理彩の籠だけ玉が1個も入ってない。


俊敏すぎでしょ。