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「いくら憂鬱だからって、水分はとった方がいいと思うけどなぁ」
開会式も終わって、あたしが出る種目…短距離走も終わり、テントに戻ったあたしに差し出された水を断ると、理彩が渋々といった感じで水筒を直す。
でも、今お茶とか水とか飲むと、内臓とか吐き出しそう。
そのくらいには、しんどい。
昨日は涼しかったのに、今日の気候は一変してジリジリと暑い。
まるで夏みたい。
「それにしたって、こう…可も不可もないような順位とってきたね、真琴」
「…でも、あたしとしてはいい順位だからいいの」
苦笑いの理彩に、頬を膨らます。
いいじゃん、別に。5人中3位だよ?
運動音痴としては、頑張ったほうなんだけど。
拗ねたあたしに「そぉーお?」なんて笑った理彩は、おもむろに立ち上がって靴に足を通した。
「なんか次玉入れっぽいから行ってくる〜」
「あぁ…、あの殺人的なやつね」
はは…と苦笑いをこぼせば、楽しいのに〜なんて膨れながら、理彩はテントを出て行った。
はっきり言って、うちの玉入れはおかしい。
籠を背負った人がひたすら運動場内を逃げ回り、そこに敵チームが玉を投げ入れ、より多く入れられた方が負け、っていうやつ。
別名『走る玉入れ』。
あれ頭に当たったらどうするんだろうって去年すごく思ったんだけど、籠を背負う人はヘルメットを被るらしい。
…いや、絶対暑いでしょ。



