*
「遂に……遂に来ちゃったんだね、この日が…」
「そんな人生の終わりみたいな顔で言わないでよ、戦争にいくわけでもないんだから」
だって、だって。
澄み渡る空と、運動場に置かれたテントと、入退場門と書かれた長方体の箱。
ああ憂鬱。本当やだ。
普段ボケまくりな理彩がツッコミに回るくらいにはやだ。
こんなことならてるてる坊主逆さにして10個くらい吊るしとけばよかった。
はぁぁーーー…と重いため息を吐く私の肩を、理彩がパンッと叩く。
「そんな死んだ顔しないでよ〜、テンション下がる!
それに常連くんも新堂くんもリレー出るんでしょ?いっぱい応援しなきゃね」
その言葉に、ピクリと体が動く。
そ、そうだよね、新堂くんのカッコいい姿が見れるんだし。
あと……応援の約束、したし。
「あ、常連くん。」
理彩が指差した先を見ると、そこには確かに友達と笑ってる八神くん。
……ああして見ると、普通に可愛いのに。



